それは、この・・・
相手の頭に絵が浮かぶように話なさい
というタイトル。これがいきなり目に飛び込んできたからだ。
本を読む、活字を読む・・・というのは、「二次元(文字)」を拾う(読む)ことで脳内に「三次元(映像)」を結ぶこと・・・だと私は考えている。
シンプルな活字は白と黒の2ビットの世界だ。その白黒2ビットを、32ビット、64ビットのフルカラー映像に変換する作業・・・これが読書である。
青い空と白い雲
このシンプルな7つの「文字」が、
真っ青な空に、黙々と湧き上がる白い雲
という「映像」に結ばれる。
これが読書という作業の本質で、これ(文字から映像への変換)が行われている時の脳内の処理はケタ違いに複雑で大量の情報処理演算を実施しているわけで。
読書が「頭を良くする」ということは「脳みそを鍛える」という事に他ならない。
読書はすればするほど頭が良くなるというのはそういう事だ。
◆
掛かれているテクニックは、それぞれに「成程」と頷かされるものもある。
センテンスは短く、間はゆったりとる(P53))
感情表現は伝える力のキモ(P57)
本当に伝えたいこと(メインテーマ)がわかっていない人が意外に多い(P104)
例えばね・・・を挟んで、エピソードを入れる癖をつける(P125)
ハウツー本としては、わかりやすく、取り入れやすく書かれているかとも思う。
でも、おそらく、この本を買った読者のほとんどが、
分かりやすいけど、実践できない(しにくい)・・・と感じるのではないかなと思う。
それは、
この本に書かれているテクニックを実践するには、「基礎訓練」が必要なのではないかなと思うからだ。
それは、基礎読書力だったり、書く力だったりする。
たくさん読み、たくさん書く、そして声に出して表現する。
読書を多数こなし、脳内のメモリーに「絵」をイメージするトレーニングをする。
書く、文字にすることで、「絵」を表現するトレーニングをする。
(脳内に結ばれた「絵」を再び文字に戻すトレーニングをする)
声に出すことで、それ(脳内にイメージとして結ばれ、文字に変換(表現)されたイメージを言葉(伝わる語)にする。
という一連の作業について、ある程度トレーニング/訓練を積む必要があるということだ。
それ(本の内容を実践するには基礎的なトレーニング(や、ちょっとしたノウハウ)が必要であると作者もわかっているのだろう。
だからこそ、作者は惜しげもなく、ノウハウを本として世間に出しているのだと思う。
司会者、営業マン、部下を持つ管理職・・・・人にものを伝えなくてはいけない人には気づきの多い良書だと思う。