頭が良いというのと勉強ができるというのは別のものなのだ・・・外山滋比古を読む

◆2020年5月6日(水/祝)江別は晴れ

情報の整理学 外山滋比古

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◆学術書・教養書というより、エッセイ?

情報の整理の仕方?という事で読み始めてみたのだけれど、これ、単なる外山のエッセイではないか。

系統だって情報の整理について述べられているかと思いきや、もろエッセイ・・・散文。

思いつくままに書き散らした散文という表現がぴったりではあった。

 

でも、体裁は「書き散らかし」ではあるけれども、書かれている内容はさすがに滋味深いというか面白かった。

 

◆グライダー人間と自分で空を飛べる人間

日本の教育のひな型として、「学問とは、他者(教師)から教わるもの」というものがある。

教えられた事(物事)を、しっかり記憶にとどめる(暗記する)ことが「学び」であり、教育であると。

そして、「物覚え(暗記)」する力があるものが「(頭の)良い人間である」と評価される。

これが、従来型の教育であり、その理想であると。

この「教育」の行き着く先は、「指示待ち人間」「教え導く存在が無いと何もできない人間」となる。

自ら考えて行動を起こすことが出来ない人間を量産してしまう事にもなると外山は表す。

 

グライダーと飛行機は、ともに空を飛ぶという事に関しては同じである。

しかし、グライダーは「引いてくれる存在」が無いと決して空を飛ぶことは出来ない。「何に頼らず先導されずとも自力で」空を飛べる飛行機とは決定的に違う存在なのだ。

これが本書の中を首尾一貫として貫かれている思想である。

そして、人も、「教えてくれる存在」がいないと何もできない人間ではなく、「自ら動いて」何かをなしうる存在こそ重要なのだと説く。

ここは、良くわかる・・・というか、日常、仕事などで痛感させられているから、思いきり共感できる。

学校はグライダー人間の養成所である。

学校はグライダー人間の養成所である。
飛行機人間は作らない。グライダーの練習にエンジンの着いた飛行機などが混じっていては迷惑する。危険だ。学校ではひっぱなれるままに、どこにでもついてゆく従順さが尊重される。勝手に飛び上がったりするのは規律違反。たちまちチェックされる。やがてそれぞれにグライダーらしくなり卒業する。優等生はグライダーとして優秀なのである。飛べそうではないか、一つ飛んでみろ、などと言われては困る。指導するものがあってのグライダーである。

情報の整理学P11

先達(先生)の教えに従順に従って「勝手に飛び出そうとする」独創性や個性を持たないものが優秀とされるわけだ。

ところが社会に出て、仕事をするとなると、これが一変する。

例えば営業、商談における顧客や、その状況などは千差万別。商談の場では誰もそこに立ち会って教えてくれるわけでは無い。

グライダー人間では無力になってしまうわけだ。その場その場に応じて臨機応変に自分で判断し、自分でその場に対処する・・・

「教えられる(引っ張られる)者がいなくとも、自分で(独創性を発揮して)その場をまとめられる力(応用力)が求められる」

これが飛行機型人間で、グライダー人間との決定的な違いだ。

しかしながら、

ものを考える人間は、自信を持ちながら、なお、あくまで謙虚でなければならない。
(中略)
ものを考え、新しい思考を生み出す第一の条件はあくまで独創である。
(中略)
ただそれを振り回していては説得力はない。

情報の整理学P45

グライダー人間を脱し、自分の独創で飛び出さなくてはいけない、しかし、その独創に酔い過ぎてもいけない。謙虚にその独創に向き合わなくてはいけない。というのだ。

さらに、情報の整理として「忘れる(捨てる)」ことの重要性も説く。

ガラクタの整理ですら、後になって、残しておけばよかったと後悔することがある。まして、知識や思考についての整理であるから、ひょっとしたら後になって役に立つのではないか、などと考えだしたら整理などできるものではない。それでも知識のあるものは捨てなくてはならない。それを自然に廃棄してい行くのが忘却である。意識的に捨てるのが整理である。

情報の整理学P132

なるほど、頭の中の情報を「自然に廃棄する」のが忘却で「意識的に捨てる」のが整理ということか。

そして捨てるものと残すものを吟味する事こそが重要と外山は説く。

さらには、書くことの重要性にも触れる。

書いているうちに、頭の中に筋道が立ってくる。頭の中は立体的な世界になっているらしい。
(中略)
書こうとしてみると、自分の頭の中がいかに混乱しているかが分かったりすることもある。

情報の整理学P136

思考の整理をするには「書いてみる」事が何より大事なのだという事が良くわかる。

私は、部下や後輩に、

とにかく読め、本を読め、そして書け・・・・と指導をする。

そして、「考えること」を要求する。

そのこころの一端は、

・グライダー人間から飛行機人間になる
→主体性を持って自分で考えられる人間になる

・思考を整理し論理的に考える
→周囲(顧客、上司、後輩部下)が自分に求めていることを理解する

・書いてみて自分の思考を伝える準備をする(整理する)
→自分の考えを上手に伝える

ということで、要するに「訓練」ということになる。グライダー人間で「頭が良い」とされるのは「記憶する力」があるということで、社会の現場で求められる「頭の良さ」とは、自分で考えて、自分に求められていることを理解し、伝える」力の事であるという事。

そして、それは訓練でいくらでも身に着けられるという事だ。

外山滋比古 情報の整理学。東大生、京大生というグライダー人間の模範生たちに受ける理由もわからないではない。

東大生、京大生らの「(受験)勉強」=覚えること・・・が優秀とされる人間たちに対し、「それは全く違うまちがった評価なのだよ」といういわば自虐的な爽快感を感じるという事が、その理由なのではないかと思う。

良書である。

学生から社会人まで、あらゆる層の方に読んでみることをお勧めする。

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このページは、よしかわゆういちが2020年5月 6日 21:00に書いたブログ記事です。

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