今回も気持ちよくダマされた ジェフリーディヴァ「扇動者」を読む

◆2020年4月29日(水)江別は曇りのち雨

ディーヴァ_扇動者

ジェフリー・デイーヴァ 扇動者 文春文庫924円

◆二転三転のジェットコースターストーリは健在

久しぶりの読書日記・・・

ちょうど2年前、仕事で「青天の霹靂」で今のポジションについてから、まともに読書感想文など書けていなかった。読書をしなかったわけでは無いのだけれども、じっくり落ち着いて読感する気持ちの余裕が無かったというのが正直なところなのだろうか。

2年たって、ようやくペースらしきものもつかめ、気持ちにも少しばかり余裕ができてきたのかな・・・

さて、

私のアイドル作家のひとりジェフリー・ディーバの18話・36冊目(彼の作品はほとんどが分冊しているので1話2冊)。

この稀代のストーリーテラーの語りは相変わらず。テンポよく私をアメリカのカリフォルニアに連れて行ってくれた。

大型ライブハウスなどで群衆がパニックに陥り、ささいなことで我を失い、混乱の中で痛ましく死傷者が出る・・・

そのあたりの語りは読むものをその場に引きずり込む。

火事の煙たさを感じ、密閉されたエレベータ内の息苦しさを感じ、飛び降りた海岸の海の水の冷たさを感じる。

まあ、どっぷりとストーリーの中に引きずり込まれ、臨場感たっぷりに疑似体験させてもらえた。

 

ただ、長編18話ともなると、さすがに「才の枯渇」を感じるのが否めないかな・・・というのも正直なところだ。


ディーヴァも書くのがかなり「辛く」なってきているのではないかとも思う。


今回は正直「おもしろかったけれども、物足りなさも(若干)感じた」というのが正直なところではある。

主人公のキャサリンダンスは、キネシクス(人の動作から嘘や隠れた心理をあぶりだす)の達人で、捜査にそれを用いるキャラクター。

姉妹作のリンカーンライム・アメリアサックスシリーズの、アメリアにキャラが完全にかぶっていた。

従来、このキャサリンはキネシクスの専門家ではあるけれども、戦術捜査班(アメリカでは刑事にそういうカテゴリーがあるらしい)のリーダーとなるキャラではなかった。そのキャラはアメリアの役割であったはず。

いつの間にか、キャサリンが戦術版のリーダーになってしまっていたのには、ちょっと驚かされた。

そして、相棒であるオニールとのラブロマンスにも、やや唐突感というか、違和感を感じざるを得なかった。

 

二転三転するトリックの構成にエネルギーを割かれ、キャラに無理が生じてきている・・・ところが出て来てるのかな・・・と言う感じ。


作家というのは酷な仕事である。

我々読者は、常に「前作以上のファンタジー」を新作に求めてしまうから・・・つねにクオリティを高めて(しかも、我々読者は前作群を詳細に読みつくしている)読者を満足させなければならないのだから・・・

 

まあ、楽しませてもらったから、良しとすべきなのだろうな・・・

ディーヴァーさんごめんなさい、である。

また、新刊が出れば必ず読みます。(笑

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このページは、よしかわゆういちが2020年4月29日 20:37に書いたブログ記事です。

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