兄に恋し、妹を愛する・・・ひとつの究極の愛の姿なのか?宮本輝 「焚き火の終わり」を読む 悪友文庫8

                焚火の終わり

                   

               宮本輝 集英社文庫

ゴールの無い恋愛

渡辺淳一は、不倫の愛の姿をよくえがく。

彼は「結婚や出産という恋愛のゴールが、不倫には無い。なので、究極の愛の姿がそこにある」と、である。

私は残念ながら、「不倫」というものをしたことが無いので(笑)、その究極の愛の境地はわからないが、その言わんとするところは解らないでもない。

ゴールが無いからこそ永遠なのであり、現時点での愛が全てなのだろうと。

そして、兄が妹に、妹が兄を(ひとりの異性として)愛する姿というのは、それに繋がるモノがあるのだろうと思う。

この物語でえがかれる愛も、タブーであり禁忌であるからこそ、完全なのだろうとである。

 

読者のレビューが面白い

この本は、評価が非常に面白い。

互いに、兄と妹を越えて愛し合っているという気持ちをおさえきれず結ばれる瞬間で終わるのが上巻。

その後の二人の姿がえがかれ、結末が(ゴールが無い)事で、ある意味尻つぼみ的に終わるのが下巻。

上巻のレビューはおすすめ度4.5

下巻のレビューはおすすめ度3.5

私も、「この二人はどうなるのだろう?」「二人を取り巻く謎はどうなるのだろう?」と、思いながら読み進めたが、結局、二人の行方も、ちりばめられた謎も、何もかも放り出されたエンディングに?という気持ちがあった。

禁忌・タブーへ、これでもか、と私達を誘っておいて、最後は、

「後は読者に全てを預ける」

形で、何も結論を示さず終わる・・・・

最後には、「この二人の行く末と、この二人を取り巻く謎の結末」は全て読者の想像力にゆだねられる・・・と言うわけだ。

これが、下巻は評価が落ちる原因だ。

わかりやすい結論、ハッピーエンドか、不幸な結末。

撒かれた謎のすっきりとした説明。

これがあってこそ、の、ミステリーで、それがないとどこか消化不良。

私達は、余りにも「解を求める」こと、「解を示されること」に馴染みきってしまっている。なので、「解を与えられない」状況になると不安定な心持ちになる。これが評価に如実に表れる。

宮本は、確信犯的にそれを放擲したのだと思う。

私達読者に対し、「後はアナタ達が考えてね」と、挑戦しているのだ。そういう意味では面白いし、結論が無ければすっきりしないので、中途半端で面白くないのだ。

タブーに挑戦し、読者にも挑戦する。

結末は私達の心にゆだねる。佳作であり、駄作でもある一冊だと思う。

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このページは、よしかわゆういちが2012年1月22日 02:58に書いたブログ記事です。

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