◆一つの事件を別の人間/別の視点から書くと・・・・
ミステリー、ハードボイルド・・・いや、文芸全般に置いてこういう手法はあったのだろうか?読書量が少ないので、何とも言えないのだが、少なくとも私は初めて出会った手法である。
ススキノハーフボイルドは、美少年高3受験生の視点から、
駆けてきた少女は40代中年、ススキノ便利屋探偵の視点から、
一つの暴力団組長が引き起こす「事件」を扱っている。
それは、全く独立した別々のストーリーという体裁を取っているので、それぞれを単独で読んでも充分面白いのだが、合わせて読むと、
「一つの事象(事件)を多面的・複眼的に見ることの面白さ」
を堪能できるわけだ。
そして、その後日談的挿話が熾火である。
それぞれが、全く別のストーリでありながら、続けて読むとこれが一つの大きなストーリーに収斂してゆく様は作家の力量に脱帽である。
さらに、3話が、それぞれ「別シリーズ」を構成しており、3つのシリーズが、これまた大きな流れとして成立している点がまた凄まじいのだ。
登場人物も、勿論重なり、一冊のストーリーが、次作のエピソードなり、他シリーズのエピソードにもなり、絡み合って行く。
いやはや、何とも、東直巳という作家の力量には驚かされるばかりだ。
◆人間を見る目、視点の暖かさ
東直巳は人間観察者である。その観察の視点のベースには「人の心のぬくもり」がある。
だから、どの作品も、読後感が爽やかだ。
広げた話の収斂が、甘い、物足りない・・・という批判もある。
私も、そこはうなずけるモノもあるのだが、それ以上に各シリーズ、各書での、人と人とが織りなす心温まるドラマに引きつけられてやまないのだ。
この3冊は掛け値なしに面白い!おすすめである。

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