タイトルの絶妙さと、最後の一行の余韻が素晴らしい一冊 東野圭吾「宿命」を読んだ(悪友文庫4)

■6月10日(金)札幌は曇りのち雨

東野圭吾 「 宿命 」 を読んだ。

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Amazonnの商品説明より引用

内容説明
刑事と容疑者、幼なじみが宿命の対決を果す初恋の女と別れ、男は警察官となった。男の前に十年ぶりに現れたのは学生時代のライバルだった男。彼は殺人容疑者で別れた女の夫になっていた。宿命の二人の対決内容

「BOOK」データベースより
高校時代の初恋の女性と心ならずも別れなければならなかった男は、苦闘の青春を過ごした後、警察官となった。男の前に十年ぶりに現れたのは学生時代ライバルだった男で、奇しくも初恋の女の夫となっていた。刑事と容疑者、幼なじみの二人が宿命の対決を果すとき、余りにも皮肉で感動的な結末が用意される。

いや、面白かった!東野作品はこれが初めてだったが、本格推理小説・謎解きミステリーとしてもプロットの構成やトリックも緻密でスキが無く、どきどきしながら読み進むことができる。もともと私はミステリーが嫌いではない。

しかし、それ以上に私が惹きつけられたのが、東野がこの作品を書いたそのモチーフである。解説によると「意外性の創造」なのだという。

そういう意味では、この試みは大成功だろう。私は、翻弄されて、最後の最後で息をのむほど驚かされたからだ。

運命とは、その人の努力で自分で変えることが可能だが、宿命は産まれながらにして人が背負うモノで、ひとの努力では変えられないものだという。

ここには「宿命のライバル」の二人の男が登場し、小学校入学前から人生の種々の局面で競い合う。一度は進路が別れ、離れ離れになってしまうのだが、そこは宿命、必然的な邂逅があり、また競い合う事になる。そして圧巻のラストシーン。最後の一言。

「先に生まれたのはどちらだ・・・?」「君だよ・・・」

の言葉に収斂してゆく。

このおもしろさを語りたいのだが、私の拙いこの紹介を見て、この本を手に取られる方もおられるかもしれないので、そこは書かない。(とにかく面白いので読んでみて欲しい)

私達は生きる上で、他者との関わりは避けては通れない。人は一人では生きて行けないのだから。ただ、好むと好まざるとに関係なく、関わりを定められた人物が存在し、絡み合う事が定められている宿命の人物。

人もうらやむような結婚をしたはずの主人公の妻が、しかし、その主人公とは心を通わすことが出来ず。唯一結婚前に心が震えるほど愛した男が、夫との生涯のライバルとして自分の目の前に現れる、宿命。この作品は宿命がいくつも重なり合い絡み合って進んでおり、惹きつけられる。

さて、私の宿命は・・・・死ぬ間際に総まとめで種明かしされるのだろうか・・・?

少なくとも、この本を読めと紹介してくれた悪友とは間違いなく宿命のライバルだな。(笑

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このページは、よしかわゆういちが2011年6月11日 17:45に書いたブログ記事です。

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