人々が情報とそれによる欲望に振り回され、めいめい迷走する姿 松本清張・迷走地図を読む

■2011年4月23日(木)

松本清張 「迷走地図」

読んだのは新潮文庫版

(実際に読んだのは、新潮文庫版(上下) )

永田町という処は、何とも数奇な人種の坩堝であったようだ。いや、今もそうなのだろうか?

国会議員、議員公設秘書、私設秘書、議員事務所職員、議員の運転手等の議員関係者はもとより、官僚、新聞記者、そして、胡散臭い院内紙記者(情報屋と言っても良い存在だろう)。さらには陳情に訪れる人々・・・。

これらの人々がそれぞれ、「情報」というキーワードで右往左往するというのがこの本の主筋である。

権力、お金、に、そしてつきものの色恋。

「情報」が人々の暗い情念をたきつけ、種々の「欲望」を喚起する。ある意味、永田町という処は「情報と欲望の坩堝」とも言えるのかもしれない。料亭での生活?ぶりや、愛人との情交(この古い表現がなぜかとてもしっくり来る)が政治家の姿のメタファーとなって非常に面白かった。

そうした、「人々が情報とそれによる欲望に振り回され、めいめい迷走する姿」を揶揄したタイトルが「迷走地図」ということか。

この本が著されたのが昭和58年、もう30年近く前だ。新聞、週刊誌という紙で流通した情報は、web・メール・ツイッターへと大きく姿を変えた。

しかし、人の情念であったり、欲望は今とちっとも代わらない。

文庫本上下で800ページにわたる大作なのだが、一気に読ませてくれる。読了まで二日かからなかった・・・。

松本清張は稀代の「コピーライター」ではないかと私は思っている。著作のタイトルが秀逸で深いのだ。一読したあと、「何故このタイトルなのだろう?」と考える余韻のある作家である。

しばらくは、清張の作品群を読み返してみようと思う。

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